モロッコ5日目その②:フェズに移動、バスチケットバトル勃発
2泊3日のサハラ砂漠ツアーを無事終えた私たち。
ツアーは本来マラケシュ発着で、ここからまたバンに乗りマラケシュに向けて帰るのだが、私たちはマラケシュではなくフェスを経由しシャウエンに行きたいので、バンの運転手とは別れを告げ、サハラ砂漠のあるメルズーガから一部の参加者と共に6人乗りのワゴンでフェズを目指す。
1人250DH(約2750円)でフェズまで連れていってくれるとのこと。トルコ人の親子と、フィリピン人の2人と一緒だった。ちなみにこのフィリピン人の2人は、ツアー代にフェスまでの移動費が含まれていたと言っていたので、探せばそのようなツアーもあったのかも。
6時間のドライブ後にフェス到着。サハラの時と違い、セーフティードライバーだったのでとても乗り心地が良かった。宿のすぐ近くまで行って降ろしてくれ、道がわからなくても宿に電話をかけてくれた。
フェズに着いたのは、お昼過ぎだった。
フェズは、迷宮都市といわれるほどの入り組んだ町のようで、私達は旧市街にある、Le cèdre d’argent と言うリヤドに泊まった。
行った時に店主がいなかったようで、奥さんは全く英語が通じなかったが、それでも快く迎え入れてくれ、内装は綺麗で部屋も広かった。
リヤド特有の中庭は吹き抜けで気持ちがいい。
次の日にフェスからシャウエンに移動したかったので、バスターミナルにチケットを買いに行くことに。ネットで調べると、徒歩15分ぐらいのところにあったので、街歩きも兼ねて歩いて行くことにした。
フェスの旧市街の街中を歩いてみると、なんとなく治安が悪い印象を感じ取れた。
旧市街の方には観光客が少ないせいもあるのか、ジロジロと見られている感じがする。道にいる人々はマラケシュよりもより貧しい印象で、道もゴミなどでとても汚い。
バスターミナルに着くと、入り口付近で「シャウエン!シャウエン!」と声をかけられる。
これは乗り合いタクシーの勧誘であることが多いとネットで見ていたので、無視してターミナルの中に入る。中はかなり雑踏としていて、ローカルな雰囲気だった。
ネットを見た限りだと、CMTという国営のバスが綺麗でいいとのことだったので、そこの窓口に向かった。
白人女性が2人先に窓口にいて、チケットを迷っている様子だった。店員にシャウエンまでのチケットについて聞いてみると、
「シャウエンまで直通のバスはもう明後日の分しかないよ。代わりフェスから途中の街で乗り換えてシャウエンに向かうバスなら、あと5枚だけあるよ」
値段は70DH(約770円)で所要時間は4時間半だった。
私たちは明日中にシャウエンに行くことが最優先だったので、乗り換えでも買えるなら良かった。
あと5枚しかないけど、前の白人2人が買っても私たちの分はまだある。だけど他のターミナルからも予約が入る場合があるようなので、早く買ってしまいたかった。
前の白人女性達がずっと決めかねているので、悩んでるなら先に予約させてくれと言ってみたが、
軽くかわされる。半ば苛立っていた矢先、白人女性が口を開いた。
「決めたわ。このチケットを5枚ちょうだい」
5枚?2人だから2枚じゃないの?
驚いた私たちは、二人に向かって畳み掛ける。
「どうして5枚買うの?2人なのに何枚チケットがいるの!?」
「7枚よ。あなた達には悪いけど、私たちにはたくさんのチケットが必要なの。ごめんね」
私たちが欲しがっているのを知っているくせに、目の前で5枚買おうとしているではないか。
バスチケット売り場のお兄さんも半笑いである。
諦めきれないHiroは、白人女性たちに提案する。
「…でもさ、乗り合いタクシーで行くのもいいんじゃない?もう値段は聞いた?」
しかしそんなことは相手にもされず、目の前でチケットは売り切れてしまったのだった。
でも、治安のあまり良くないフェスに、何日もいたくない。
早くシャウエンに行ってしまいたい。
明日のシャウエン行きを諦めきれない私たちは、民営バスを探してみることにした。
同じターミナル内の窓口に行ってみると、
値段は40ディルハム(約440円)で、所要時間は4時間半という、なんとも格安なチケットが売っていた。それに、明日の時間もまだ十分に空いていた。
CMTと所要時間は変わらないのに、値段は半分近くと安い。
どんなバスかはわからないけど、安いし、民営バスでも全然いいんじゃない?
と打って変わって二人でご機嫌になり、少し遅めの12時のチケットを予約した。
その帰り、近くのレストランで夕飯に行った。
中は観光客向けの作りという感じで、豪華なお皿やソファなどが並べられていた。
だけどあまり美味しくなかった。向こうのオーダーミスでこのクスクスが2皿も出てきてしまったのだが、味が薄くて醤油をかけたいくらいだった。モロッコ料理は蒸したものが多いので、塩気と脂が多いものをだんだん食べたくなってくる。
移動で疲れていたので、その日が帰ってぐっすり寝た。
民営バスでは、カルチャーショックと新たな出会いが待ち受けているのだった。
続く。